「田中さん、どうぞ」
たまたま隣に座った淑恵は、俺のコップが空になりかけると、いいタイミングでビールを注いだ。
「お酒、お強いのね」
俺がかなりのペースで飲み続けても平気でいるのを見ると、
「注ぎ足すと美味しくないから、空にして頂戴」と、ビールを注ぐ前に、コップを空にさせた。
ビールだけではない、新しい食べ物が出て来ると、適当に取り皿に盛り付け、
「若いんだから、沢山食べてね」と、俺の前に置いた。
勿論、淑恵のそれらの行動は、俺一人に対するものではなく、周りにいる全ての人に、同じように気配りしていた。
淑恵は、パートのおばさん連中の中では、歳は行っている方だが、上品な雰囲気を持っていて、顔もそれほど崩れていない。
よく見ると、好みのタイプの顔をしていて、だんだん『可愛い』とさえ、思えてきた。
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